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06.09.22:02

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  • 06/09/22:02

02.04.20:04

4

店は考えた結果、児童公園のそばにした。
子どもを客に見込んだわけではなく、丁度いい感じにビルの1階が駐車スペースとして空いていたのを、たまたまそのビルのオーナーと桐生が面識があり、当分の間無料で使わせてもらうことに快諾を得たのだ。

業者から借りてきたガスボンベ、ゾンビ騒ぎの中で巡り会ったオヤッサンの鉄板。
商材なんかもなんとか手に入れて、いよいよの営業再開だった。

鉄板に爆ぜた油が目元に跳ねたのを拭う暇もなく、両手のピックを動かす。
溢れさせた生地が煮える前に丸くまとめなければ、出来上がりの舌触りが悪くなるのだ。
この仕事を始めたばかりのころは、手間取り、遅れるたびにオヤッサンから丸めたスポーツ新聞で後ろからはたかれたものだ。
食材の仕入れ、仕込み、焼き上げ方から出店の仕方まで、くどいくらいに教えてくれたオヤッサン。
おかげで今はこうして、独りでもなんとかやっていける。
まん丸に焼き上げたたこ焼きを手際よくトレイに詰め、楊枝を二本添える。ソースと削り節、青海苔で仕上げて輪ゴム掛け。袋に入れて差し出せば、列の先頭で俺の手元を見ていた事務服姿の姉ちゃんが「はっ」と我に帰り財布を慌てて開いた。
「400円な。おまちどうさん」
お、100円玉4個や。つり銭になるから有り難い。
丹精込めて焼き上げたたこ焼きたちが次々と引き取られていく。
焼いては売り、焼いては売り。昼前に店を開いてから、今はもう夜の8時だ。客足は絶えなかった。まだ復旧してない飲食店も多い中、物珍しさや懐かしさから寄る人が多かったようだ。
まあ、中にはそばまで寄ってきたのに、俺と目が合うと慌てて目と足を反らして行ったのも数人いたが。

ポリバケツから粉つぎに生地を移す。
玉杓子の底が、プラスチックのバケツの底を掠った。そろそろ終いだ。

「どうだ、調子は」

顔を上げれば、桐生だ。行列とは反対側の柱の向こうから、人懐こい眼差しを寄越してくる。
2、3人並んでいた客が、彼を横目で見上げている。心配せんでも、「たこ焼き鉄板の極み」などは始まらない。
「・・・ま、ぼちぼちやな」
「フッ、お約束の返事だな。」
「何や。この辺で厄介ごとか」
話しながらも粉をつぎ、具を撒く。
「まあな・・・。龍司、この辺でイグアナ見なかったか?」
「イグ・・・アナ?」
思わず聞き返した。あの緑色のでかいトカゲか。今、そんなもん探してるのか。
「いや、俺は見てへん」
「そうか」
「あ、・・・あの・・・」
並んでいた客の中の、若いリーマンの兄ちゃんが控えめに手を挙げた。二人でそちらを見る。
「イグアナ、さっき・・・、児童公園の水のみ場に居ましたよ。」
桐生が向き直る。
「そうか。どのくらい前だ?」
「ええと・・・ここに来る前だから・・・10分くらいですね。」
「そうか。ありがとう。」
そう言うと、もう行ってしまった。
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