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06.09.21:03

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  • 06/09/21:03

01.24.23:44

3

「あの、社長おったやん」

牛めしを食いながら俺は言った。
再建中のミレニアムタワーそばの松屋のカウンターに二人並んで、麻雀上がりの夜食を食っている。


「社長?」
「金貸しの」
「・・・ああ、秋山か」
「おう。あっちに回せばええんちゃうんか」
あんたが遣らんでも、と言いながら飯を掻き込む。秋山、とはこの町で金融業を営む社長の一人だ。神室町を巡る一連の事件に絡み、この桐生と縁がある。俺は多少面識がある程度だ。
「さっきの金を本当に返しに来たら、そうしてもいい」
「・・・せやな」
話題を変えることにする。
「まだおるんか、こっちに」
「ああ。・・・いろいろ、片付かなくてな」
「いろいろ?」
「・・・ああ。相変わらず、忙しい街だ」
言う端から、デフォルトの着信音が彼のポケットから聞こえてきた。
空にした丼に割り箸を据えて、言葉少なく受け答えをする彼の目元を横目に見ながら、爪楊枝を使う。表情はそれほど暗くもない。
わかった、と言葉を結んで彼が通話を終えた。俺の目線に気付き、何だと問う様に見返してきたので、軽く肩を竦めてスツールを立つ。
「帰るわ。明日早いんや」
「そうか。またな」
彼が財布を出そうとするのを無視して、レジで二人分の勘定を済ませる。
自動ドアから表に出ると、乾燥して冷え切った12月の地面からぞわぞわと寒気が脛を上がって来た。蹴散らすつもりで歩き出すと、
「龍司」
後ろから声がする。振り向けば店を出てきた彼が怪訝そうな表情で近づいてくる。
「・・・どうした」
問われて、こういうところは、進歩や、と思う。こうして会うようになる前は、後追いなんて全くなかった。別れて独りの寝床に帰ろうとしていた気持ちが軽く揺らぐ。
「何も。・・・同じこと、何度も言いたかないんや」
「無理するな、だろ。分かってるさ」
懐こく笑う。まるで他人事な呑気さに、こっちの顔は苦々しくなる。
「分かってるなら、ええんや」
おやすみと手を挙げて、自分の塒(ねぐら)に向かう。明日は久しぶりの営業再開になる。ゾンビ騒動で鉄板から離れていた分、朝から入念に準備をしてから店を開けるつもりだ。



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